NPO法人は、行政とは異なる立場で公益的な活動を行う存在として、広く社会に認知されるようになりました。
一方で、書類審査により無料で法人が設立できること等を利用して、公益・非営利とはいえない活動を行う法人も散見されるようになってしまいました。
そこで、行政庁としては、より適正な法人運営を確保する必要性が生じました。
目次
東京都における「NPO法の運用方針」
そのため、平成17年3月に東京都は「東京都における『NPO法の運用方針』」を定めました。
その後、法改正などがあり、また、NPO法人の事業活動が多様化する傾向にあることから、平成26年4月に運用方針が見直されることになりました。
具体的な見直し点
具体的に見直しが行われた点は次の2点です。
- 「主たる目的性」および「非営利性」を判断する基準の明確化
- 「市民への説明要請」の実施
「主たる目的性」および「非営利性」を判断する基準の明確化
主たる目的性の考え方
「主たる目的性」とは、特定非営利活動がNPO法人の活動全体の過半を占めていることを意味します。
特定非営利活動がその他の事業を含めた活動全体の過半を占めていることは、支出面・事業面から総合的に判断されますので、主たる目的性を定款、設立趣旨書、事業計画書、活動予算書等の書類でより詳しく説明する必要があります。
非営利性の考え方
「非営利性」とは、NPO法人の構成員に対する経済的利益の追求を行わず、利益や財産の分配・還元を行わないことを意味します。
形式的にも、実質的にも、構成員への利益の配分・還元を目的としているとの誤解を受けぬよう、事業計画書、活動予算書等の書類でより詳しく説明する必要があります。
「市民への説明要請」の実施
次のような場合に、所轄庁はNPO法人に対して「市民への説明要請」をします。
- 法令違反の可能性が推認される場合
- 市民から情報提供がなされた場合
- 法に基づく事業報告書や設立登記完了届出書等が提出されない場合
また、所轄庁における手続きの透明性を図るため、「市民への説明要請」と、それに対するNPO法人による市民への説明内容は原則公開されます。