この記事は非営利団体を運営している方、ソーシャルビジネスの立ち上げを考えている方、既にソーシャルビジネスに関わっている方、NPO法人の設立を考えている方向けの記事です。
これからスタートアップする事業の内容・性質等により、個人事業主か法人か、法人なら株式会社か、一般社団法人か、NPO法人かなど、いくつか選択肢があります。
どの法人格を選ぼうかというとき、GoogleのNPO法人向けの支援プログラム、Google Ad Grantsの存在は非常に大きいです。
NPO法人を最有力候補にし得る強力な支援プログラム、Google Ad Grantsについてまとめました。
目次
Google Ad Grantsとは?
GoogleがGoogle AdWordsの広告枠$10,000 USDを、参加資格のある非営利団体に、無料で提供するという支援プログラムです。
Google Ad Grants では、参加資格のある非営利団体の皆様に対して Google AdWords での広告掲載を最大月 $10,000 USD まで無料で提供いたします。このプログラムは、非営利団体の皆様がより良い世界を作るための活動において、世界中のユーザーにそのメッセージを届けることができるよう支援するためのものです。
(Ad Grants ヘルプ[Ad Grants プログラムの概要]より抜粋)
日本円で約120万円(2015年8月15日時点)の広告枠。
しかも毎月です。これはすごい。
これは使わない手はないですが、参加資格はどうなのでしょうか?
Google Ad Grantsの参加資格
日本の場合、次の条件を満たす必要があります。
- テックスープ ジャパンへの登録
- 特定非営利活動法人、公益法人、または社会福祉法人
つまり、一般社団法人や株式会社では、利用することができません。
上記3つの法人格のうち、最も素早く設立できるのは特定非営利活動法人だと思われます。
Google Ad Grantsの制限
「だったらすぐNPO法人立ち上げて、サイト作って、物販したらいいじゃん!」となりますが、NPO法人を設立する時点でも制限がありますし、Google Ad Grants上でも制限があります。
NPO法人なら使いたい放題というわけではないので、制限についてもご紹介をしておきたいと思います。
予算制限
アカウントの予算は 1 日あたり $329 USD(約4万円)と制限されています。
しかし、そもそも広告枠の無償提供なので、十分にありがたいと思います。
活動内容によっては、使うキーワードが限定されてくるので、約4万円を使い切ることの方が難しいかもしれず、4万円で十分だとも思われます。
入札単価制限
クリック単価(1クリックあたりの広告料)が $2.00 USD (約250円)までに制限されています。
他の営利企業がひしめくビッグワード(例えば「老人ホーム」など、検索すると多くの大手企業の広告が表示されるもの)単体は、おそらくですがCPC250円では買えないと思います。
入札単価制限がなければ、営利企業の競争が阻害され、Google側も損をしますので、当然かと思います。
Grantsproで上限変更も
Grantsproというプログラムで上記の上限を変更することもできるようです。
Grantspro プログラムでは Ad Grantees の資格を満たした団体に対して、予算の上限を毎月 $40,000 USD に引き上げます(通常は毎月 $10,000 USD)。このプログラムでは、無償で広告を掲載できる 1 日の予算は最大 $1,315 USD に設定できます。
(Ad Grants ヘルプ[Grantspro]より抜粋)
ただし、「アカウントを自主的に管理する専任者を団体内に設ける」などの条件もあり、団体によっては簡単ではないかもしれません。
Google Ad Grantsの使い方
入札単価の問題からビッグワード単体での広告表示は難しい、となった場合、NPO法人としてはどのような使い方をすればいいのでしょうか?
たとえば、次のような使い方が考えられます。
- 複数のキーワードの組み合わせで、団体名や活動の周知など、広報に活用する。
(「熱 保育」「病気 保育」などロングテールで) - 地域名等と組み合わせてイベントの告知に活用する。
- ボランティアの募集に活用する。
- 期間限定の会員募集のキャンペーン等に利用する。
まとめ
社会課題を解決するソーシャルビジネスを立ち上げるにあたり、「まだどの法人格にしようか迷っている」という方からご相談を頂いたとき、WEBでの広告宣伝が有効と見込まれる場合には、Google Ad Grantsを活用するためにNPO法人をオススメするケースが増えてきました。
NPO法人であれば活用できる支援プログラムは他にもあります。
まだの方はぜひ活用してみてください。