役員の収入に関するコラムです。「細かいことはよくわからん!」という方は読み飛ばして最後のまとめを御覧ください。
目次
役員報酬の要件
NPO法人の要件のひとつに「報酬を受ける役員数が、役員総数の1/3以下であること」というものがあります。役員報酬は役員総数の1/3以下の人にしか支払うことができないのです。
では、2/3以上の役員は、無報酬、ボランティアで働かなければならないのでしょうか?
実はそうではありません。
役員報酬
上記でいう「役員報酬」とは役員というポストに対する報酬です。
仮にボサッ〜と働かずに、ただ役員でいるだけだったとしても支払われる報酬のことです。
役員給与
NPO法人の理事は、職員を兼務することができます。
(監事は職員を兼務できません。)
理事が職員を兼務する場合、職員としての労働の対価の部分を役員給与といい、役員給与は上記の役員報酬には当たらないとされています。ですので、法律上、理事全員が給与をもらっても問題ありません。
(監事は職員を兼務できません。)
理事が職員を兼務する場合、職員としての労働の対価の部分を役員給与といい、役員給与は上記の役員報酬には当たらないとされています。ですので、法律上、理事全員が給与をもらっても問題ありません。
役員給与は原則定期同額または事前確定
ただし、役員給与は定期同額給与または事前確定届出給与でないと損金に算入できない(=経費にできない=税金がかかる)とされています。
定期同額とは?
あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるもの
(国税庁HPより引用)
決まった時期に、同じ金額を反復して支払う、ということ。
事前確定届出給与とは?
役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与
(国税庁HPより引用)
職員の給与については、出来高制やシフト制により、毎月給与支給額が変わっても法人の経費にできます。
しかし、役員給与は(原則として)月によって金額が変動した場合には経費にできません。「今年度は事業収益いっぱい出たからボーナスもらっちゃお!」ができないのです。毎月同じ金額か、事前に届け出ている金額を支給しないと、税金面で損をしてしまいます。
しかし、役員給与は(原則として)月によって金額が変動した場合には経費にできません。「今年度は事業収益いっぱい出たからボーナスもらっちゃお!」ができないのです。毎月同じ金額か、事前に届け出ている金額を支給しないと、税金面で損をしてしまいます。
ただし、役員が使用人兼務役員の場合は別です。
使用人兼務役員
役員給与であっても、使用人兼務役員の場合には、使用人部分(他の職員と同じ基準で算定された給与)については、役員給与に該当しないとされています。
つまり定期同額・事前確定でなくても、使用人兼務役員であれば、勤務日数や出来高に応じて月々の給与額が変動しても、損金算入可能(経費にできる)ということになります。
つまり定期同額・事前確定でなくても、使用人兼務役員であれば、勤務日数や出来高に応じて月々の給与額が変動しても、損金算入可能(経費にできる)ということになります。
使用人兼務役員になれるのは、
使用人兼務役員になれるのは、「代表」や「副」、「専務」「常任」などの役がついていない役員のみです。
よって、もし副理事長を設けた場合、その方の役員給与は、定期同額給与または事前確定届出給与でない変動する給与部分については、損金算入できないことになります。
まとめ
まとめますと、次のようになります。
- 役員報酬は役員総数の1/3以下ですが、役員給与は理事全員に払える
- 「代表」「副」「専務」「常任」などの役付理事の役員給与は、定期同額または事前確定でないと、経費にできない。
- 役がついていない「平」理事の役員給与は、職員と同様の基準であれば、定期同額または事前確定でなくても、経費にできる。
ですので、あえて理事長(代表理事)以外には、役職を設けない、という選択肢もあります。
理事にも職員同様に給与を支払う予定がある場合には、設立時に注意が必要です。
※税務の詳細は税務署または税理士にお問い合わせ下さい。